□ 映像用の音声 映像作品における音声はざっくり分けて、同録、ダビング(アフレコ)の2つの方法がある。
・同録:同時録音、映像収録時に音も同時に収録する。
・ダビング(アフレコ):映像収録時以外に収録、もしくはCD等からインポートする。いずれの場合も見えている映像と違和感なくシンクロする事が重要である。
では違和感とは?回避するには?
<<アップになっている人物や楽器の音が遠い。聞き取りにくい。聞こえない、等>> ・インタビューなどで、登場人物がアップになっているにもかかわらず、声が小さかったりして聞き取りにくい事がある。
→出来るだけ声(音を)ちゃんと拾える収録方法をとる。具体的には、指向性の鋭いマイクを使用する。マイクを出来るだけ近い位置に置く。コンタクトマイクを使用する。など。
→収録後に発覚した場合、編集機やオフライン編集ソフト上でボリュームを上げてみる。EQ処理ししてみる等いくつかの方法があるが、基本的には収録時にちゃんと録る事が重要。
・ミュージッククリップなどでソロ楽器がアップになっているのに音が遠いような場合。
→マルチトラックレコーディングをしている場合はミックスをやり直す。すでにモノやステレオで収録済みの場合はどうしようもないが、EQ処理で特定の楽器の帯域を持ち上げたり、さむなくば全部の音量を上げてみる事で聴感的に違和感が少なくなる場合もある。.
<<見えている空間の予想される響きと聞こえる響きが違う。>> ・たとえばクラシックのコンサートホールでの演奏シーン、アップになった演奏者の音がドライだったりすると違和感がある。
→何かの理由で同録したものが使用出来ずアフレコを行った様な場合、リバーブをかける事で解決可能な事もある。
・普通の部屋や教室のシーンにもかかわらず妙に響きのある音という場合。
→マイクの距離が遠いような場合、被写体の声とともに部屋の響きを拾ってしまうため、声のボリュームを上げたつもりが部屋の響きがかえって目立ってしまうような事はよくある。響きを付加する事は出来るが軽減する事は出来ないので、出来るだけ声を(音を)ちゃんと拾える収録方法をとる。具体的には、指向性の鋭いマイクを使用する。マイクを出来るだけ近い位置に置く。コンタクトマイクを使用する。など。.
<<登場人物やモノが発する音と聞こえている音に時間的ズレを感じる。>> ・最も顕著な例として衛星中継時など、アナウンサーの口の動きと音声がズレて感じる事はよくある。
→デジタル化し圧縮して伝送する場合、情報量の多い映像と比較的少ない音声のデジタル処理にかかる時間差や、伝送経路の違いなどが主因でズレが生じる訳だが、計測機を使用してあわせるか、目視で音声側にDelayをかけて合わせる。
・海外ドラマの吹き替え等で登場人物の口の動きと音声がズレて感じる事も多々ある。
→目視で合わせるのは中々難しいが、ProToolsなどのワークステーションを使用している場合は"VocalAlaine"などのソフトウェアで比較的簡単にオリジナルの音声にフィットさせる事が可能。
・DVDプレーヤーなどでは映像と音声がシンクしない場合が稀にある。
→特定の機種のみで現れる症状の場合は情報量の多い映像と比較的少ない音声のデジタル処理にかかる時間差の問題。安価な機種ではたまにある。どの機種でも同じ場合は作り手側の問題なのでオーサリングをやり直さなければならない。.
<<不必要な音(雑音等)が聞こえる。>> ・生本番中にピースサインの聴衆が写りこんでしまうような例はよく見かけるが、不要な音が予期せず入ってしまう事もある。
→未使用のマイクは全部オフにしておく。できるだけターゲットにフォーカスした近接マイクを使用する。生本番でない場合は編集でカットする。
・「カクテルパーティ効果」と言って、人間はかなりザワザワした空間の中でも特定の相手に意識を集中する事で会話をする事が出来るが収録されたザワザワの中から特定の音声を聞き分けるのは難しい。
→目立たない場所に装着したピンマイクやコンタクトマイク、高性能の超指向性マイクなどにより特定の声にターゲットをしぼって収録する。場合によってはアフレコとし、ザワザワ音は別に収録して合成する。.
<<バックグランドノイズなどが不連続、あるいは聞こえない。>> ・インタビューなどで同録の音声を使用している際、言い間違った部分等を編集する事によってバックグランドノイズが不連続になったりする事はよくある。
→出来るだけバックグランドノイズが小さくなるような収録方法をとる。具体的には収録場所を考慮する。ドアや窓を閉める。収録時間帯を考慮する。指向性の鋭いマイクを使用する。マイクを出来るだけ近い位置に置く。コンタクトマイクを使用する。など。・部分的にスタジオなどでアフレコしたものと差し替えるような場合にも同様のトラブルがおこる場合がある。
→出来るだけバックグランドノイズが小さくなるような収録方法をとるのはもちろんだが、積極的にバックグランドノイズを使用したいような場合(サッカースタジアムやレース場、工場などがバックに写っているような時)は、バックグランドノイズだけを別に収録して合成する。すべてスタジオでのアフレコなのにそれを感じさせたくないような場合にも同様のテクニックを使用する。. ・同録:同時録音:マイクの選択や使用法をマスターする事が重要です。映像用のマイクというと長めの手持ちブームについた風防付きの超指向性マイクが一般的ですが、特定のターゲットに最適なマイクを選んだり、複数のマイクをミキシングしたり、セパレートトラックに収録したりする事も時として大切です。たとえば喫茶店などでインタビューの収録を行う際、予算都合等の理由で音声スタッフが同行しないでワンマンオペレーションとなるような場合、後処理をもくろんんでカメラ付属のマイクで収録したりすると、非常に低品質の音しか録れません。スタジオに持ち帰って音声スタッフに後処理を依頼しても文句を言われる事は間違いないばかりでなく、後処理で劇的によくなる事はありません。
マイクに関しては以下リンクをご参照下さい。マイクロフォン(概要)、構造と向き不向き、ダイナミックマイク、コンデンサーマイク、リボンマイク、伝送計、指向性&用途。
・アフレコ:収録場所や見た目のイメージともマッチングを考慮する必要があります。
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