90年代はDAW時代の幕開け。80年代にはシンクラビアやフェアライトCMIなど数千万円のDAWもあることはあったが、一部の有名ミュージシャンしか使用出来ない価格だった。(1984年のTOTOのアルバム「FAHRENHEIT」ではシンクラビアもsf=100KHzで使用した。)1987年にDigiDesignからSound Tools+Sound Designerが発売され、後に(1992年)ProTools1になった。先進的なスタジオには導入されたがプロ機材にしては価格が安過ぎて導入に二の足を踏むスタジオも少なくなく、特に大手のスタジオではほとんど普及しなかった。逆にアーティストやエンジニアによるプライベート・スタジオの構築は比較的容易になった。
2000年に入ると急速にProToolsが普及(ソニーがプロオーディオの分野から撤退し、2004年にはすべてのメンテナンスサポート終了も起因)、スタジオ標準のレコーダーはProTools一色となった。ProToolsはレコーダーでもあり、編集も視覚的で楽、豊富なプラグインがあり各種アウトボードの機能も持ち、ミックスダウンも可能。という訳で各スタジオとも必須のスタジオ機器として一斉にProToolsを導入した。(一部のスタジオでは2000年に発売されたNuendoを導入 )
しかし、この時代は作曲家や編曲家は一部を除き、ほとんどがデジタルパフォーマーやロジック、Cuebaseなど、シーケンサーと呼ばれるソフトを使用していた。オー ディオも録音、編集が可能で、EQやコンプ、ピッチ変換など、スタジオのProToolsとほぼ同じようなエフェクトもかけれるが主な理由はMIDIの機能が格段に優れていたからにほかならない。
こういったDAWを使用する事によりかつてのように山のよう な量のシンセをスタジオに運ばなくても自分で録音出来るので制作側はこういったシーケンスソフトで作業し、プロのミキシングエンジニアがシーケンサーで宅録された素材を引き継いでミックスダウンをする事も珍しくなくなった。
業務用のスタジオでもアーティストやエンジニアによるプライベート・スタジオでもProToolsは急速に普及、1997年のProTools24、2000年のProTools HD192登場でデファクトスタンダードとなった。
CD製造工場への納品もCDR納品が主流となった。
リバーブも高品位なリバーブがプラグインとしていくつも提供されアウトボードのリバーブはだんだんと姿を消す事になった。 |