□超初歩からのProTools 中級・・・


目次 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 RX ・・別の種類のノイズ処理


ProToolsを買えばすべて何でも出来るって訳でもない。ProTools元々付属しているプラグインだけではどうやっても力不足は否めない。これからProTools購入を考えてる人には「せめてWAVESのGOLDかプラチナは一緒に買ってね」ってお薦めしている。ProToolsで出来る事が20倍にはなるハズ。

ライブ収録とかもやるプロのエンジニアならもう一つ、iZotopeのRXっていうNoise除去に特化したソフトは必須。なにしろ音を視覚的に見やすくして不要な部分を探し出して除去するっていう優れモノ。

iZotopeのRXもバージョンアップを重ねバージョン5から随分変わった。具体的には「Pro Tools」と「RX5」それぞれ別々のアプリとして起動し、Pro ToolsのAudioSuiteの「RX Connect」からRXにデータを送り、RXで処理をしたら、 再びRX Connectに戻てAudioSuiteでRenderをする、という処理が可能になった。これによりAudioSuite上だけで作業するよりずっと効率的にノイズの除去が出来るのでとても便利。

YpuTubeなどにそれぞれのノイズ処理の方法がたくさんアップされてるがスタンドアローンのRX上での解説が多いのとそのほとんどが英語って事で敷居が高いのか私のところへ救援依頼がよく来る。以下はRecording & Mixingを生業とするmu-の適当マニュアル。メーカーの人間じゃないので中身の真偽は保証しない。ちゃんと知りたい方はメーカーが主催するセミナーが年に何度かあるんでぜひそっちで勉強して欲しい。ちなみに国内の代理店はプロのエンジニアなら誰でも知ってるTAC SYSTEM。各種情報&10日間有効のデモ版のダウンロードも可能。

http://www.tacsystem.com/products/izotope/

RXをスタンドアローンで立ち上げると以下のような画面が出る。ここからどーしていいかよくわからんっていうご仁が多い。って訳で、おおまかに各部の役割を理解しよう。


 R X を使ったノイズ処理入門


 

 

まずはRX の画面下から二段目に並んでいる表示&選択ツール。

 

 それぞれのツールの役割

Waveform/Spectgram opacity :波形とスペクトラム表示の割合を決めるスライダー。一番左にするとは波形だけの表示に、一番右にするとスペクトラムだけの表示になる。中間にすれば波形とスペクトラム両方が表示される。
Zoom in /Zoom out :水平方向の表示を拡大したり縮小したりする。当然の事だが虫眼鏡表示の+を押せば ズーム。マックの上向き矢印キーを押すかComand+でも。縮小はー、マックの下向き矢印キーを押すかComandー
Zoom to selection :カーソルのある位置、または選択されてる位置をズームする。
Zoom out to show entire file :どんなにズームしていてもあれを押せばオーディオファイル全体を表示する。Comandと0(ゼロ)を同時に押しても可。
Zoom to selection :この虫眼鏡が水色になってればオン。水色の状態の時に波形上を選択すると即座にその場所が拡大される。
Grab & drag :この手がブルーの時、波形をつかんで動かす事が出来ます。
Instant Process :左の○をチェックすると Instant Processの字がブルーになりそのすぐ右側にあるいくつかの機能が有効になります。たとえばAttenuate になっていてBrush selection toolを使うとBrush でなぞった部分の音はすぐにAttenuate されます。
Attenuate : アッテネート、直訳すると弱める。つまりノイズを除去または弱めたい時にはコレを。右側の下向き三角印をクリックすると他の選択肢としてDe-click、Fade、Gain、Replaceが選べる。
Time selection tool :ここからここまでっていう時間軸で選ぶツール。全部の周波数一括選択しか出来ない。 選択されてる時はこのアイコンがブルーになる。
Time frequency selection tool :時間軸上でここからここまでって選ぶが特定の領域の周波数を選べる。複数の周波数帯域を選びたい時は一つ目を選んでからシフトキーを押しながら別の周波数帯域を選択する事も可能。選択されてる時はこのアイコンがブルーになる。
Frequency selection tool :選ばれてるリージョンの全部(あたまからケツまで)特定の周波数領域を選べる。複数の周波数帯域を選びたい時は一つ目を選んでからシフトキーを押しながら別の周波数帯域を選択する。選択されてる時はこのアイコンがブルーになる。
Lesso selection tool :Photoshopとかだとフリーハンドで対象を囲むんで選択範囲を決めるツール。選択されてる時はこのアイコンがブルーになる。複数の周波数帯域を選びたい時は一つ目を選んでからシフトキーを押しながら別の周波数帯域を選択する事も可能。
Brush selection tool :Photoshopとかでエアブラシで何かを描くのと同じ感じでフリーハンドで対象をなぞって選択範囲を決めるツール。選択されてる時はこのアイコンがブルーになる。
Magic Wand selection tool :Photoshopではおなじみのツール。画面にドミソの和音のスペクトラムが表示されている時にたとえばミの音の部分にこのカーソルを当ててワンクリックするとその音の色の範囲が自動的に選択範囲に設定される。
Select harmonics :選択範囲の音の倍音を1〜10まで指定するとその倍音も同時に選択される。倍音は基音に比べてレベルが小さいので表示では見にくいがこの機能を使えばすぐに選択出来る。
Time scale zoom :このスライダーを右にスライドすると表示(波形表示もスペクトラムの表示も)が水平方向に拡大表示される。このスライダーの右上にAmplitude scale zoom っていう垂直方向のズームスライダーもある。(垂直方向は波形とスペクトラムのどちらを拡大するか選べる)

 

 


 RX のいちばん下の段に並んでいる各種情報画面

 

 それぞれの表示の意味

Current playhead position :停止時は現在カーソルのある位置、再生時は再生している時間のカウンター
Input monitering :入力モニター
Record :録音する
Rewind :あたままで戻る。
Stop :ストップ
Play :再生
Play frequency selection :選択されてる周波数範囲のみを再生する。つまり除去される方の音だけを再生するのでここで除去されちゃまずい音が聴こえたらその選択はダメって事!!!
Enable looping :これを押すと選択範囲がループ再生される。
Level Meter :レベルメーター。その下に現在のビット解像度とサンプリング周波数が表示される。ProTools側が44.1/16でも32bit floatingで読み込まれる。
Clip length :上段は今選択されている部分のスタートとエンドタイム&長さ。(カーソルを置いてるだけだとStartしか表示されない。) 下段は読み込んだクリップ全体のスタートとエンドタイム&長さ。
Frequency Range :周波数レンジ。含まれる一番低い周波数&一番高い周波数
Cursor :カーソルの位置、その場所のLevel、その場所の周波数
Histry :操作履歴。いくつ前まででも戻ってやり直し可

 

 右側に並んでる各種の処理モジュール。それぞれ得意分野があるのでどれを使うかは慣れが必要。

iZotopeのロゴの右側にある歯車マークが初期設定 。  ?マークがHELP

ProToolsで使う時は初期設定の中にあるAudio>Driver typeをRX Monitor にする

特定の系列(Denoise系だけとか)のモジュールだけを表示したり全部を表示したりする。一番右の四角いのは自分で作れるLIST Filter。

Module Chain : 自分好みのいつものセッティングを記憶、読み出して使用出来る。たとえばDe-essでシ音を提言、次にBreath Controlでブレスを減らしDe-clickでクリックの漏れを消す。みたいな一連の流れを記憶させて使う。

Repair : 修復系ソフトのリストを表示

Ambience Match:LIVEで収録した音のアンビエアンスプロファイルを学習させてStudioで録った音にかぶせてマッチさせる
Breath Control::ブレスを自動で識別し軽減または除去する。除去される音だけを試聴してチェックする事も可。
Center Extract : ステレオトラックからセンターまたは左右だけを抽出
De-bleed : レコーディング時にヘッドフォンから漏れたクリック音を元のトラックとクリックトラックを読み込んで勉強させ低減または排除する
De-click : Clickの漏れを除去
De-clip : レベルオーバーでクリップしてる音を修復
De-crackle : レコード盤のスクラッチノイズや木管楽器から発せられるパチッってノイズを軽減または除去
De-ess :シ音(サ行の声に含まれる不必要な歯擦音)を効果的に除去
De-hum : 電源に起因するハムノイズの除去
De-plosive : (主に低域の)mic bamp やPOP noseを低減,又は除去
De-reverb : (主にせりふや唄などの)リバーブ成分を減らす
De-rustle : 衣類に装着したラベリアマイクなどで発生してしまった擦れ音を除去、せりふを聞き取りやすくする
De-wind :マイクの吹きにより発生するウインドノイズを低減または除去
Decontruct : 選択された波形を分析し、本来の楽音とノイズに分離し再構築。フルートの楽音と息の音のリバランスや昔のレコード盤のスクラッチノイズにも良い
Dialogue Isolate : 騒々しいバックグラウンドノイズからせりふ以外を分離して除去、聞き取りやすくする
Interpolate : The Interpolate module in iZotope RX 6 is used for repairing individual audio clicks, below 4,000 samples in length. This mode replaces your whole selection with the replacement signal. It can be used instead of the “pencil” tool found in other software.
Mouth De-click : リップノイズやクリックを除去

Spectral De-noise : 変化するノイズプロファイルを連続的に分析し、望ましくないトーンやブロードバンドノイズを除去。従来のDe-noiseのように部分的にノイズプロファイルを勉強させて適用する事も可

Spectral Repair : 音をスペクトラム表示して視覚化し不要なノイズを除去
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 実戦に移る前にいくつかやらなきゃなんない事がある。

1.RXをスタンドアローンで起動。その際、Preferenceの「Audio」の「Device Type」を「RX Monitor」に設定。

 

 

 

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2.Pro Toolsのセッションを開き、Auxトラックを作り、「RX Monitar」プラグインをインサート。

 
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3.Pro Tools上で編集したい部分を選び、AudioSuiteでnoise Reduction のリストから「RX Connect」を選ぶ。

 
 

4.、通常は右側のREPAIRが青く表示されているがクリックなどのREFERENCE用FILEも送る時はREFERENCEをクリックしてから下の段中央の「SEND」をクリック。

 
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5.RXに画面が切り替わるのでRXで編集作業をする。→ その際、Pro Tools上の「RX Monitor」経由で音が再生される。

   
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6.RXで編集が完了したら、RXの上部にある青い「SENDBACK」をクリックするとPro Toolsに画面が切り替わるのでRENDERをクリック。そうすると、先ほど選んだクリップが、RXでの編集結果が反映される。→ 反映されたクリップは元の名前の後ろにRX6Cnct-01- っていう文字列が追加される。
 
     

”Composite View”では、最大16個のオーディオトラックを取り込み、複数トラック間に入ってしまった問題にも簡単に対応。例えば、ドラムレコーディングのマルチマイクに入ってしまった携帯電話の着信恩を同時に削除することが可能。


 でわ、実際にやってみよう。

 How to Remove Unwanted Sounds from a Take | iZotope RX

 譜面をめくる音の除去

1)まずは1曲丸ごとを選択してAudioSuiteのRX ConnectからSENDをクリックしてRXに音を送る。

 

 

2)スペースバーを押すかトランポの三角印を押して再生開始

3)除去したいノイズ(この場合は譜面をめくる音)がある場所を探し、拡大して特定する

4)拡大表示した状態で、音声波形(青)とスペクトグラムデータ(オレンジ)の表示レベルのバランスを分かりやすいように調整する。RX上での編集はスペクトグラムデータ上で編集するので青い波形は薄めにオレンジのスペクトグラムデータをはっきり表示させる。

 

 

5)データ表示画面の下に表示拡大画面やPhotoshopのような選択ツールが並んでいるので除去したい箇所を選択する。はっきりと音程がある部分は明るい色で表示されてるのでその部分を避けて選択。

6)Tool Barに外側を四角く囲んだプレイボタンがあるのでそこをクリックすると選択した音だけが聴こえる。左画面の選択方法だとピッチの明確な部分も選択されてるのでNG。除去される側を聴くのにピアノの音が聴こえる。右側のなら聴こえない。

 

 

7)どのツールで取り除くかを選ぶ。この場合は"Spectral Repair "。

8) "Spectral Repair "の操作画面が現れるのでとりあえず"Defolt "のままで"Proces "を押す。 右下のHistoryに元々のデータと処理したデータが現れるので聴き比べは簡単。(元々のデータ= Initial State )その下が処理履歴。

 

 

9)聴いてみるとまだノイズが残ってるので楽音のピッチ以外の所にあるノイズ成分を見つけて選択する。 "Spectral Repair "の操作画面はそのまま残ってるので"Defolt "のままで"Proces "を押す。 聴いてみてまだ何かあればさらに続ける。右下のHistoryに元々のデータと処理したデータが現れるのでやりすぎちゃった場合は少し戻って再度やってみる

 

 

10)バッチリになったら上の方にある青い『SENDBACK」を押すとProToolsに戻り、AudioSuiteのRX Connectが表示されるので右下のRENDER を押す。処理が反映され クリップの名前が変わる。

 

 

以上で処理が完了。BEFORE / AFTER を聴いてみよう。

 
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追加情報:結構拡大表示してて再生中にノイズ箇所を見つけてStopすると再生スタート箇所に戻ってしまうのが不便な時はプルダウンメニューから、Transport→Playhead Returns on Stop がデフォルトでオンになっているのでそこのチェックを外すと、Stopした箇所でカーソルが止まることがわかりました。Winns Masteringの粟飯原さん情報です。

ご質問、ノイズ処理やRecording、Mix、Mastering などお仕事の依頼はmu-@mu-s.comまでお願いします。


 

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