□ ピアノのマイクセッティング
ピアノは楽器の王様と呼ばれ、88鍵のピアノの音域は約30Hz〜4KHzの基音とさらに上の倍音が多く含まれ非常に周波数レンジの広い楽器だ。グランドピアノはサイズもあり、マイクアレンジによって音色は大きく変わる。
演奏される音楽の種類にもよるが、ハンマーが弦に当たるアタックの音とピアノ全体から発せられる音のバランスが大事。ピアノを上から覗き込むと黒いダンパー(消音機)が一直線に並んでいるが、その下に弦をたたくハンマーがある。ロックティストが強い楽曲であればこのハンマーに近い位置にマイクをセットしてアタック感をキッチリ収録する。
マイクは最低2本立てるが2本の場合は中音部と高音部に1本づつ。余裕があれば低音部にもう一本立てたり、ピアノの下から響板を狙って立てたりする事もある。
AKG C414、ノイマンのU87などが定番、安いマイクならC451、最近ではDPA4099Pも多く使用されている。
PAの現場(特にモニター)ではピアノのフレームに開いている穴にシュアーのSM57を響板にむけて挿すようにセットする事もよくある。音質よりも音量を優先する場合は57は定番。ここに高品位なDPA4099Pをセットするエンジニアもいるが、ココは57+EQがお薦め。
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アタック感よりもピアノらしい音や響き、グランドピアノのスケール感をそのまま収録したい場合にはピアノの内側ではなく外側にマイクを置く。ジャズやクラシック、ポップスでもPAする必要もなく他の楽器のかぶりも心配ないスタジオ収録ではだいたいこっちのセッティング。ピアノのくびれのすぐ外側、またはその延長線上にマイクを置く事が多い。曲調によってはオンマイクセッティングと両方立ててバランスをとる。
AKG C414、ノイマンのU87などが定番。DPA4006やBlueの Baby Bottleも中々良い。
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ここにあげたセッティング例はいずれもエンジニアのmu-の個人的主観による。ピアノ収録に関しては一家言あるご仁は沢山いる。別に喧嘩を売るつもりはさらさらないので、ま、そういう流派と思って欲しい。「ピアノ録音」や「ピアノマイク」などキーワードを入力して検索すれば情報はあふれるほどあるので勉強したい人はそちらを参考に。
職業エンジニアは「自分が聴こえている音がそのまま録れてるのかどうか」より「演奏者が望む音がそのまま録れてるのかどうか」を常に意識している。趣味の世界では自分の好きなように、仕事の場合はさまざまなアプローチと結果(録れた音)を知りつつ、その時々で最適なセッティングをトライして演奏者とプレィバックを聴いて判断する事が重要。
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