□超初歩からのPA入門 ・・・たとえば 「卒業公演のPA をやる」編
学校にPA 機材があってLIVEの時に「PA よろしく」と言われたものの、機材ごとの知識は多少あるものの何がどうなってんのかさっぱり?!......え〜〜〜〜、そのくらい学校で教わんなかったの?
・・・・・・・・・・・・とりあえずまずは入力系統
<信号の流れに沿って考えてみよう>
1a)音の入り口。マイク
・音を拾ってPAする音の入り口は言うまでも無くマイク。
・代表的なボーカルマイクはシュアーのSM58、サウンドハウスとかなら13,000円くらい、後継機のBeta58でも15,000円くらい。
→設計も古いし安いマイクだがボーカル用には超定番。決してハイファイではないがシャキっとしていい味を出している。
・同じ系列のマイクでウィンドスクリーンの無いタイプ、SM57は楽器用の定番。58よりもHigh上がりの特性。
→楽器用にどのマイクを使うかわからなければとりあえずSM57でなんとかなる。
・シンバルやAG、ピアノなど高い周波数を含む楽器はコンデンサーマイクが良い。C414、C451やC391などが無難だろう。
→コンデンサーマイクを使う為には48Vのファンタム電源が必要。
→中にはダイナミックマイクなのにコンデンサマイクのようなフラットな特性を持ちつつハウリングに強いマイクもある。
・AUDIXのマイクはTOTOやレッチリ、Pearl Jam、アラニスモリセットなど、ミュージシャンにも愛用者が多い。
・各種マイクについてもう少し詳しく知りたければコチラを参照。
1b)ワイアレスマイク
→大別してハンドマイクタイプとヘッドセット、ラベリアタイプの3種類。
→ステージでのボーカル用はほとんどがハンドマイク
→唄って踊るのボーカル用はほとんどがヘッドセットタイプのマイク
→役者やアナウンサーが胸元や髪の生え際等に仕込んでるのがラベリアマイク
→下の写真は左からハンドマイク、ヘッドセット、ラベリア、ヘッドセット&ラベリア用の送信機、受信機の例
→受信機の出力は通常はラインレベル。(マイクレベルよりも相当大きいです)
1c)音の入り口。D.I.
・音を拾ってPAする音の入り口、ラインでつなげる楽器の場合はD.I (ダイレクトボックス)を使う。
・具体的にはE.BASSやキーボードのLINE OUTにはD.I (ダイレクトボックス)をつないでXLRバランス出力に変換する。
→インピーダンスマッチング及びレベルの整合をとる為に使用する。変換コネクタでとりあえずつないでしまうのはダメ!!
→定番はカントリーマンのType85、安いのを探す場合はBOSSとか、Proが好むE.BASS用の定番はAVALON U5、コレは絶品。
→Type85やBOSSは48Vのファンタム電源が必要。AVALON U5はAC100V(並行輸入品は117V)で。
・D.I (ダイレクトボックス)のつなぎ方。
→TYPE85:E.BASSの出力から「INST 」につなぎ、「AMP」からギターアンプにつなぐ。
→BOSS:E.BASSの出力から「INPUT 」につなぎ、「Para Out 」からギターアンプにつなぐ。
→AVALON:E.BASSの出力から「INPUT 」につなぎ、「THRU 」からギターアンプにつなぐ。
→ケーブルはEGやBASS用のケーブルを使う。(マイクケーブル+変換コネクタはダメです!!)
2)キャノンケーブル(マイクケーブル)
・電子オルガンの事をエレクトーンと呼ぶ事があるが、実は一企業の商標名。同様に、キャノンコネクタは会社名。
・米キャノン社(Cannon)が開発したXLR型コネクター及びその互換品を指す。
・このコネクタを使ったケーブルはかつてはキャノンケーブルと呼ばれた。
・現在ではノイトリック社のXLR型コネクターが主流。
・そのためこのコネクタを使ったケーブルはマイクケーブル、またはXLRケーブルと呼ぶ。
SM58の音の出口 キャノンコネクタ ノイトリックコネクタ・(ワイアレスを除く)どのマイク、どのD.I.も音の出口はXLR3ピンのオス型。
3)マルチボックス---マルチケーブル---マルチボックス---立ち上げ
・マイクやD.I.の出力にマイクケーブルをつなぎそのままPA卓につないでも良いがステージとPA席が離れている場合は8CHや16CHのマルチボックスとマルチケーブルを使用する。マルチボックスはインアウト両方のコネクタのついたものが一般的。
4)デジタル転送
・PA卓まで太くて重いマルチケーブルを使わないで細いイーサケーブルでデジタルで転送する手もある。
・卓によっては(M7ESとか)アナログの入出力は8CHだけであとは全部デジタルってのもある。
5)チャンネル数を数えてプランを練る。
・最大編成と使える機材量やマンパワーを考えてプランを作る。
・M7 ES 1台だとステージボックスは3台まで接続可能で48CHの入力が可能。
・ステージボックス3台だとたとえば以下のような入力が可能。
Multi INST MIC/D.I. STAND FOH FB 備考 A-1
DRS-A_KICK D112 259K ○ ○ A-2 DRS-A_SN SM57 259 ○ ○ A-3
DRS-A_HH C391 210 ○ ○ A-4 DRS-A_TOP-L C391 210 ○ A-5 DRS-A_TOP-R C391 210 ○ A-6 DRS-A_H-TOM SM-57 210 ○ A-7 DRS-A_L-TOM SM-57 210 ○ A-8 DRS-A_F-TOM SM-57 210 ○ A-9 DRS-B_KICK D112 259K ○ ○ A-10 DRS-B_SN SM57 259 ○ ○ A-11 DRS-B_HH C391 210 ○ ○ A-12 DRS-B_TOP-L C391 210 ○ A-13 DRS-B_TOP-R C391 210 ○ A-14 DRS-B_H-TOM SM-57 210 ○ A-15 DRS-B_L-TOM SM-57 210 ○ A-16 DRS-B_F-TOM SM-57 210 ○ Multi INST MIC/D.I. STAND FOH FB 備考 B-1
E-BASS-1 T-85 ○ ○ B-2 E-BASS-2 T-85 ○ ○ B-3
EG-1 SM-57 259 ○ ○ B-4 EG-2 SM-57 259 ○ ○ B-5 EG-3 SM-57 259 ○ ○ B-6 Apf-Low C414 210 ○ B-7 Apf-High C414 210 ○ B-8 Apf-Hole SM-57 210 ○ B-9 KEY-1L T-85 ○ ○ B-10 KEY-1R T-85 ○ ○ B-11 KEY-2L T-85 ○ ○ B-12 KEY-2R T-85 ○ ○ B-13 KEY-3L T-85 ○ ○ B-14 KEY-3R T-85 ○ ○ B-15 AG-Line T-85 ○ ○ B-16 Spere SM-58 210 ○ ○ Multi INST MIC/D.I. STAND FOH FB 備考 C-1
MC-1 (W L) MAXON 210 ○ ○ C-2 MC-2 (W L) MAXON 210 ○ ○ C-3
VO-1 (W L) MAXON 210 ○ ○ C-4 VO-2 (SENNHEISER WL) 210 ○ ○ C-5 VO-3 (SENNHEISER WL) 210 ○ ○ C-6 VO-4 (SENNHEISER WL) 210 ○ ○ AC VO-5 (SENNHEISER WL) 210 ○ ○ C-8 VO-6 (W L) MAXON 210 ○ ○ C-9 VO-7 (W L) MAXON 210 ○ ○ C-10 VO-8 (W L) MAXON 210 ○ ○ C-11 Vo-9 (W L) MAXON 210 ○ ○ C-12 Extra-1 (W L) SM57 210 ○ ○ C-13 Extra-2 (W L) SM57 210 ○ ○ C-14 Cho-1 (W L) MAXON 210 ○ ○ C-15 Cho-2 (W L) MAXON 210 ○ ○ C-16 Cho-3 (W L) MAXON 210 ○ ○
・それ以上のチャンネル数が必要になる場合もある。例えば以下のような場合。
Multi INST MIC/D.I. STAND FOH FB 備考 D-1
Tb-1 SM57 210 ○ FBはPAのSub Mixをもらう D-2 Tb-2 SM57 210 ○ D-3
Tb-3 SM57 210 ○ D-4 Tb-4 SM57 210 ○ D-5 Tb-5 SM57 210 ○ D-6 Tp-1 SM57 210 ○ FBはPAのSub Mixをもらう D-7 Tp-2 SM57 210 ○ D-8 Tp-3 SM57 210 ○ D-9 Tp-4 SM57 210 ○ D-10 Tp-5 SM57 210 ○ D-11 Sax-1 SM57 210 ○ FBはPAのSub Mixをもらう D-12 Sax-2 SM57 210 ○ D-13 Sax-3 SM57 210 ○ D-14 Sax-4 SM57 210 ○ D-15 Sax-5 SM57 210 ○ D-16 Talk Back SM58 210 ○ Multi INST MIC/D.I. STAND FOH FB 備考 E-1
Perc-A_1 SM57 210 ○ ○ E-2 Perc-A_2 SM57 210 ○ ○ E-3
Perc-A_3 SM57 210 ○ ○ E-4 Perc-A_4 SM57 210 ○ ○ E-5 Perc-B_1 SM57 210 ○ ○ E-6 Perc-B_2 SM57 210 ○ ○ E-7 Perc-B_3 SM57 210 ○ ○ E-8 Perc-B_4 SM57
210 ○ ○ E-9 E-10 E-11 E-12 E-13 from PA-Tb Sub Mix FBへはPA から送る E-14 from PA-Tp Sub Mix E-15 from PA-Sax Sub Mix E-16 from PA-Talk Back
・上記のようなチャンネル数だとイーササウンド1本でという訳にはいかないので対策を考える必要がある。
・いずれにしてもPAのコンソールは48CHでは足らないのでもう一台必要になる。
・ステージからPA席への回線も16マルチが2本分は必要。
6)回線の引き回しを考える
・ステージからPA卓まで、全部アナログで引くと引き方にもよるが30mの16チャンネルのマルチを最低でも5本必要になる。
・会場、あるいは引き回しルートによっては50mのマルチが必要。
・ほとんどのホールは上手下手袖からPA席付近までの渡り回線があるのでそれを利用する。
・ジーリオの場合、上手下手袖に16マルチが1回線づつ、さらに音声調整室でパッチする回線もあるのでそれを利用する。
・渡り回線を利用すればPA席なで長いマルチを引く必要は無くなり効率良いセッティングが可能。
→客席後方のピットからPA席まで短いマルチでOK。
7)モニター卓も使う時
・PA卓とは別にモニター専用の卓を使用する場合はステージで分岐する。
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